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第36話 魔法使い

Author: 霞花怜
2025-06-24 20:00:26

 北欧では、生活の中に魔法使いが存在する。

 数々の薬の調合、薬と毒の見分け方、料理を美味しくする調味料の配合、畑を肥やす土の作り方、水を濾過する方法。そういう手法を魔法使いが人々に伝授してきた。

 科学が台頭した現代でも、魔法使いは生活の中の隣人である。

「魔法使いの魔法は様々だけど、rulerたる魔法使いは、発狂した人を一瞬で正気に戻したり、強姦を止めたり、相性の良い者同士を引合せたりする、いわゆる性に関わる犯罪や揉め事、相談を担っている場合が多かった」

 性に関する営みや悩みもまた、深く生活の一部だ。

 誰にでもはできない相談も、解決する手段を持つ魔法使いになら話せる。

「|彼《か》の地方の人々が魔法使いと呼ぶ存在の中には、今の僕らがrulerと呼ぶ存在が確かにいて、第二の性を持つ人々の悩みを解決し、犯罪を防いでいたんだ」

 WO自体、世界共通の概念となって百年程度だ。

 概念としては新しくても、onlyやotherの性をもつ人々は古くから存在した。そういう人々を助けてきたのが魔法使いに紛れたrulerだった。

「魔法使いの中に、rulerが……。そう言われると、しっくりきますね。onlyやotherのフェロモンもそうだけど、特にrulerのフェロモンは魔法みたいに感じるかもしれません」

 晴翔の感覚は、割と一般的だ。

 フェロモンを

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